本当にあった怖い話|管理人ブログ

危険!

あれは忘れもしない200X年秋のことだった・・・もう10年以上前のことだ。

その頃、ワタシはただの広告マンだった。プライベートでメンズエステに行ってはいたが、その後、こうしてレビューを書くなどとは思いもよらなかった。

ある日、人から紹介されて営業に行った先がメンズエステだった。依頼内容はHPの制作だったか、雑誌や新聞広告の話だったか忘れてしまったが。

そのサロンの場所は伏せるが、名前は「A」としておく。

Aは小さなマンションにあり、受付と施術ルームが別フロアにあるタイプだった。客は受付で支払いなどをしてからルームに案内されるシステム。

もちろん、風俗店ではなく一般サロンとして営業しているA。

その受付をしていたのが責任者のB氏だった。

商談はスムーズに終わり雑談になる。B氏は紳士的で優しい人物という印象を受けた。ワタシがエステ好きだと知ると、「ぜひマッサージ受けていってください」と誘われた。

だが話の流れでそう言っただけだろうと思い遠慮した。
「このあとアポイントがあるので」

 

それから数日後の10月某日、打ち合わせで再訪した。

原稿の確認かなにかだったと思うが、話はすぐに終わった。

 

そこへ別の来訪者があらわれた。一般客かと思ったら不動産屋らしく、このマンションに関する何かを話している。

立ち話が終わると、B氏が「ま、一服していってくださいよ」と男をソファに促す。男は「じゃあ」と言ってその片隅に腰を下ろす。勝手知ったる、という雰囲だった。

ワタシはその男と向かい合わせで座っていたが、対角線に位置していたので顔を見合うということはなかった。

そこで、「では先に失礼します」と言いながら立ち上ると、B氏がこう言った。

「2人とも時間があるなら遊んでいってくださいよ。ちょうど部屋が2つ空いているんで」

すると男が「じゃ遠慮なく」と笑った。このやり取りで理解した。B氏は本気で誘っていて、それもロハ(=無料)でいいということを。

B氏がこちらを振り向く。ワタシはこう答えた。

「今日は遠慮しておきます。次回はぜひお願いします」

 

正直に言おう。もしこの男がいなかったら、またはこの男が断っていたら、ワタシはその誘いに乗っていただろう。たぶんこう言って。

「給料日前なので・・・」

するとこういう会話になる。

「もちろんお金はいいですよ」
「それじゃ申し訳ないです」
「気にしないでください」
「ありがとうございます、それじゃ・・・」

 

話すのもまだ2度目だったし、その不動産屋に相乗りした感じもいやだった。ただ、次回は断らないだろうと思いながら部屋を出た。

エレベータで1階に降りマンションを出たところで何かの違和感を覚えた。

 

マンションのエントランス前の道路に5人の男が立っていた。年齢は20代後半から40代で、服装もバラバラだった。

1人は背広、残りはラフなカッターシャツやGパンという不思議な取り合わせだった。その男たちが軽く円を描くように立ち、マンションの上部を見上げたりしている。

ワタシは彼らの横を通り抜けて駅に向かった。少し怪訝な顔をしていたかもしれないが、彼らはこちらに目もくれなかった。

事務所に戻ったワタシはそのことをすぐに忘れた。

 

 

その日の夜遅く、ワタシの携帯が鳴った。なぜかB氏だった。

「JPさん、申し訳ないですけど今回お願いしていた件はなかったことにしてください」
「え!どういうことですか?」

「実はあのあと警察が来ましてね。JPさんと入れ替わりのようなタイミングで」
「も、もしかして・・・」

「そうなんです。今、○○署にいるんですけど、ちょっと営業内容に関してイロイロありまして、ひょっとしたらしばらく店には行けないかもしれません」
「・・・はい、承知しました」

「いま、特別に電話させてもらえてますけど、たぶん、きっと、20日間くらいは連絡できないかと思います」

「はい、わかりました。連絡お待ちしています」

 

それから1ヵ月後。B氏から連絡があった。

当日、5人の男がマンション前にいたことを話した。今更ながらだが、私服だったのだと。
ただ、そのとき気付いたとしても、まさかAが目的だとは思いもしなかっただろうが。

「実は、1人のセラピストが●●てたんですよね。それが客の誰かにリークされたみたいで」
「でも、Bさん知ってたんですか?」

「本当にその子が勝手にしたコトなんですけど、うすうすは気付いてました。ま、そんな世界ではありますからね」

 

そして、ワタシはもうひとつ気になっていたことを聞いた。

「あのときもう1人いて、遊んでいった人はどうしました」

「一緒に連れて行かれましたよ。JPさん、帰ってよかったですね」

 

ワタシはごくりと唾を飲み込んだ。

もちろんその後、サロンAは閉店した。
B氏は普通のサラリーマンに転職した。

なぜか今でもときどき会って、お茶をする間柄になった。

B氏が言う。
「たまに、またあの商売をやりたくなるんだよね」

ワタシは答える。
「やめておけば?」

 

 

おわり